本で読んだり、話を聞いて理解するよりも、
研修では体感できる要素が多かったり、じっくり時間をかけますので、
新しいやり方や知識は比較的理解しやすいと思われます。
実際に現場でも出来そうな気になることがあると思います。
しかし、現場で活用してみるとなかなかうまくいかないケースがほとんどです。
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新入社員研修で深い理解を促すためにやるべきこと
4月中旬になり、新入社員研修も中盤に入ってきた企業も多いのでは
ないでしょうか。2日から私自身も新入社員研修を数社で実施しましたが、
新入社員自身も少しずつ緊張感もとけてきたことように感じます。
基本に立ち返ることの大切さ~PDCAサイクル~
研修では、新しい知識・ノウハウを習得する印象が強いと思われますが、
自分自身の経験・知識を棚卸しし、整理する場としても意味があります。
改めて基本に立ち返り、自分の課題や成長を認識することもできます。
その仕事の基本のひとつであるPDCAについて今回は考えていきます。
PDCAは新入社員研修でも頻繁に取り上げられるコンテンツで、仕事の成果を
継続して高めていくためのサイクルとして活用されています。
重要性はわかっていても、十分に実践できているかという点から言えば、
できてないことが多々あるのではないでしょうか。
P・D・C・Aそれぞれについてシンプルにポイント整理してみました。
<PLAN>
(あり方)目的を具体的にし、適切な段取りを組むこと
(やり方)ゴールの設定、タスクの洗出し、優先順位付け、期限の設定
<DO>
(あり方)計画をやり切ることへのコミットメントとモチベーションを保つこと
(やり方)スケジュールの確認、タスク実行時間の厳守
<CHECK>
(あり方)問題意識を持って、目標とのギャップを認識すること
(やり方)自己の振り返り、ホウレンソウによる振り返り
<ACTION>
(あり方)改善点を把握し、具体策を次の計画に反映させること
(やり方)原因の分析、解決策の立案
このプロセスを、どの仕事においても意識しながら、
繰り返し実践することが大事です。
PLANが得意だが、DOが苦手であったり、もしくは、DOはしっかりやるが、
ACTIONができていないといった具合に人によって注力すべきポイントも
違ってきます。
これから新入社員が入ってくる部門にいらっしゃる方もの多いと思います。
仕事の基本を改めて確認し、自分で実践しながら新入社員を迎えましょう。
研修における言葉の定義の大切さ
研修で学習するコンテンツには様々な新しい言葉が出てきます。
例えば、ロジカルシンキング研修では、MECEやロジックツリーなど、
コミュニケーション研修では、傾聴、アサーティブなど、新しい知識として
このような用語が用いられます。新しい言葉はそれが何を意味するのが、
どのように活用するのかが説明があります。
しかし、言葉の定義が本当に重要なのが、普段よく使っている言葉です。
例えば、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決、
プロジェクト、ビジョン、経営理念などがあげられます。
研修で、どう意味でこのような言葉を使っているかを確認してみると、
意味の認識がバラバラであるケースが多くあります。
普段の仕事で使っている言葉の認識がいかに違うかいう表れでもあります。
研修も言葉の定義が曖昧なまま進行すると、新しく学ぶ内容の意味もそうですし、
ディスカッションの内容の方向性もぶれてしまいます。
言葉を定義し、共有することは研修の効果を上げるためにも非常に重要です。
これまでの研修で、言葉をこのように定義しました。
マネジメント⇒計画と実行の管理
リーダーシップ⇒人に対する影響力・人を動かす力
コミュニケーション⇒相互理解
問題解決⇒あるべき姿の実現
クレーム⇒お客様の期待と要望
あくまで、私の研修での定義した内容ですので、
これが正しいというわけではありません。
研修を企画する際には、言葉の定義を吟味して考えていきましょう。
研修開発のケース②ロジカルシンキング研修のコンテンツ開発
前回に引き続き、今回はロジカルシンキングのコンテンツについて説明します。
コンテンツ開発では、下記の2つの観点から考えていきます。
研修開発のケース②ロジカルシンキング研修のテーマ設定
今回取り上げる研修テーマはロジカルシンキングです。10年くらい前から
関心が高まり、実施している企業も非常に多い研修のひとつです。
仕事において考える機会が減っているわけではありませんが、もっと質の高い
思考をするための一つの手法として高いニーズがあります。
では、どのようにテーマを設定していけばいいのでしょうか。
ロジカルシンキングというと、ロジックツリーの作り方やMECE(もれなくダブリなく)の考え方を
学習するイメージが強く、応用的なケースになると定量分析やフェルミ推定を扱うことも
あります。
研修のテーマ設計の観点からすると、下記の観点を十分に考慮しながら、
検討していく必要があります。
○考えることに関して現場にどんな問題が発生しているのか
※若手社員があまり考えていないといった抽象的ではなく、具体的に整理する
⇒伝えてくる情報がわかりにくい
⇒資料がうまくまとめられない
⇒会議がうまく進まず、無駄が発生している
⇒現場の問題がなかなか解決しない
○どんなアウトプット・考えを期待しているのか
※考えることを通じて何を具体的に実現してほしいのかを整理する
⇒わかりやすい整理された資料(文章)
⇒わかりやすい発言・説明(コミュニケーション)
⇒事実ベースでの状況把握(理解)
⇒スピーディーな問題解決(分析・意思決定)
このような観点で情報を整理し、テーマを決めていきます。
思考法やツールを学習することがテーマになると、現場の活用や
研修成果から見て、効果が下がってしまいます。
ロジカルシンキング研修のテーマ設定も目的ベースで考えるようにしましょう。
研修設計自体がロジカルでないといけません。
研修開発のケース①コミュニケーション研修のコンテンツ開発
前回、コミュニケーション研修のテーマについて整理しましたが、
テーマが決定したら、研修の中身(コンテンツ)を開発していきます。
コンテンツを作成する際には、テーマに応じてどのような要素が必要なのか、
どんな形式で進めていくのか、どれくらい時間配分をしていけばいいのかを
十分に考慮することが重要です。
研修開発のケース①コミュニケーション研修のテーマ設定
今回から具体的なテーマごとに研修をどのように設計・開発していけば
研修に対してそれぞれが持つべき意識
研修に効果があるのですが、「実施前の期待は高いが、実施後、現場での成果は出にくい」と
一部否定的な見解を持たれることもあります。研修の効果には確かに限界があります。
どんなにすばらしい研修でも基本的には成長のきっかけにしかなりません。
しかし、教育を中期的な視点でとらえれば、その成長のきっかけをいかに有効なものに
するのかが重要です。研修は効果に即効性がないからと、人材教育自体をあきらめて
しまっては、人材の成長スピードを遅らせることになりかねません。
研修での学びを無駄にしないために
企画者(人事、上長など)、研修実施者(研修会社、講師)、受講者がそれぞれ
現場での成果にこだわっていくことが必要です。
それぞれが意識すべきことを整理しました。
○企画者が持つべき意識
⇒研修の目的、会社側の意図をどれだけ把握し、伝えられるか
⇒成果を出すまでのサポートをどれだけできるか
○研修実施者が持つべき意識
⇒いかに研修の時間内で深い気づきを生み出すか
⇒現場での活用を具体化させるか
○受講者が持つべき意識
⇒現場での活用をどれだけ継続できるか
⇒自ら成長しようとしているか
研修を企画、実施する際には、研修実施者、企画者、受講者がそれぞれ、
本気で成長を考えなければ、効果は半減します。
研修を意味があるものにするために、研修への意識づけを企画者が中心となって
行うことが重要です。企画者の研修に対するリーダーシップが講師、受講者にも
伝わり、すばらしいきっかけになるための原動力となります。
研修を通じて起こる様々な効果
研修の目的は以前でも説明したとおり、スキル学習であったり、課題や行動の具体化など
を通じて成果を出すことには変わりありません。ただ、研修を実施するとその他にも
様々な効果があります。今回はその効果を整理してみたいと思います。
すべての効果が表れるとは限りませんが、研修を実施して見られた効果を
列挙してみます。
○会社からのメッセージを共有できる
研修の導入部分や終了時に社長や部門長の方から研修に対する思い・考えを
発信することがよくあります。ビジョンや方針の共有など、メッセージ性が強いものが
多いので研修の動機づけとしても効果的です。
○普段接することができない社員同士でコミュニケーションが取れる
グループディスカッションで研修の課題をこなす中で、受講者同士で状況や
考えが共有されます。普段なかなか聞けない情報を得たり、他の部門の声が
聞けたりとコミュニケーションの機会としても効果があります。
○一体感が生まれる
研修を通じて、課題の共通認識ができたり、ビジョンを共有できたり、研修で学んだことから
共通言語が出てきたりと、一体感を生み出すきっかけとなります。研修後の懇親会などが
あればより一体感が高まります。
このように、研修コンテンツから生まれる学習効果以外にも様々な効果がありますので、
社員のモチベーションを高める機会としても研修は非常に有効です。
オプション的な効果ですが、研修企画の際にはぜひその点も意識して、プログラム設計を
してみるといいでしょう。