成長を急ぐと教育効果が下がる

本で読んだり、話を聞いて理解するよりも、
研修では体感できる要素が多かったり、じっくり時間をかけますので、
新しいやり方や知識は比較的理解しやすいと思われます。
実際に現場でも出来そうな気になることがあると思います。
しかし、現場で活用してみるとなかなかうまくいかないケースがほとんどです。

以前の記事でも書きましたが、研修はあくまで気づきの場であるということです。
知識の習得とスキルの体得は違います。知識の習得は理解し、わかることであり、
スキルの体得はやってみて、できるようになることです。
この点をごっちゃにして考えると研修の目的が不明確なコンテンツになったり、
過剰な研修効果を期待し、客観的な研修評価ができなくなります。
 
スキル習得を急ぐと、わかることを無意識に優先し、成長に必要な要素十分に把握せずに、
表面的なノウハウだけを捉えて、使える使えないの判断をしてしまうことがあります。
本質的で、重要なものは非常に抽象的であることが多く、深い理解がないと
大切なことをないがしろにしてしまいがちになります。
 
例えば、コミュニケーション研修で相手との信頼関係を構築する手法として、
「相手の話を聞き、興味を示す質問をすること」を学んだとします。
信頼関係を築こうと、一生懸命聞いて、質問してもなかなか効果がでなかった場合、
このノウハウは使えないと判断して、継続的に意識して実践しなくなります。
 
また、研修でも、「この場合はどうすればいいのか」という各論の質問も多いのですが、
それがすべてのケースに応用出来ると思い込むことは非常に危険です。
ビジネススキルで万能なノウハウは基本的に存在しません。ベターな方法があるだけです。
 
必要なことはできるまで実践することであったり、経験を通じて知識も体で感じで
理解することであったりします。どうしても成長を急いでしまうと、すぐに使えるノウハウに
走ってしまうことになります。教育は時間がかかることを十分に認識し、研修やOJTを
設計していきましょう。
 
○継続的実践が必要なこと
○振り返りが必要なこと
○成長に時間がかかること

を十分に認識して、設計し、受講者に対しても伝えていくことが大切です。
 

新入社員研修で深い理解を促すためにやるべきこと

4月中旬になり、新入社員研修も中盤に入ってきた企業も多いのでは
ないでしょうか。2日から私自身も新入社員研修を数社で実施しましたが、
新入社員自身も少しずつ緊張感もとけてきたことように感じます。

新入社員研修では、マナーや事業内容、仕事の基本姿勢やスキルなどが中心
になります。研修期間に応じて、コンテンツの内容は変わりますが、大枠
このようなコンテンツが中心となるのではないでしょうか。
人事担当者や講師はそのコンテンツをできるだけわかりやすく、楽しめて、
心に残るようにコンテンツを開発し、実施することが求められます。
 
新入社員研修の内容自体はそれほど難しいことはないものの、
意図を十分に伝え、深いレベルで理解してもらうことが非常に難しいと思います。
まだ仕事をしたことがない新入社員に、主体性や思いやり、責任感といった仕事の姿勢の
抽象的な概念を理解してもらったり、現場を体感していない状態でホウレンソウや業務のやり方を
伝えることが何らかの工夫がないとなかなか伝わりません。
 
新入社員に対して、深い理解を促すために、下記のような点を意識して
進行していくことが必要です。
 
○伝えるべきことが十分に絞り込まれているか
○概念を具体的な行動レベルでイメージできているか
○スキルを型として繰り返し使えるレベルで定型化されているか
○受講者自身の過去の体験と結びつけて考えられているか
○現場での活用をイメージできているか
○身につけるために具体的にやるべきことが決めることができたか
 
※概念の例
 積極的に動く、主体性を持つ、責任感を持つ、相手視点で考えるなど
 
このような観点を踏まえて研修を進めていかないと、内容を理解しただけ
で終わったり、具体的な活用をイメージできないことが通常の研修以上に
発生します。
 
内容が簡単であり、仕事を知らない新入社員にとってはすべて新鮮なことです。
新入社員に理解したつもりにならないようにすることも大切ですが、
研修を実施する側も理解させたつもりにならないことも重要です。

基本に立ち返ることの大切さ~PDCAサイクル~

研修では、新しい知識・ノウハウを習得する印象が強いと思われますが、

自分自身の経験・知識を棚卸しし、整理する場としても意味があります。

改めて基本に立ち返り、自分の課題や成長を認識することもできます。

 

その仕事の基本のひとつであるPDCAについて今回は考えていきます。

PDCAは新入社員研修でも頻繁に取り上げられるコンテンツで、仕事の成果を

継続して高めていくためのサイクルとして活用されています。

重要性はわかっていても、十分に実践できているかという点から言えば、

できてないことが多々あるのではないでしょうか。

 

P・D・C・Aそれぞれについてシンプルにポイント整理してみました。

 

<PLAN>

(あり方)目的を具体的にし、適切な段取りを組むこと

(やり方)ゴールの設定、タスクの洗出し、優先順位付け、期限の設定


<DO>

(あり方)計画をやり切ることへのコミットメントとモチベーションを保つこと

(やり方)スケジュールの確認、タスク実行時間の厳守


<CHECK>

(あり方)問題意識を持って、目標とのギャップを認識すること

(やり方)自己の振り返り、ホウレンソウによる振り返り


<ACTION>

(あり方)改善点を把握し、具体策を次の計画に反映させること

(やり方)原因の分析、解決策の立案


このプロセスを、どの仕事においても意識しながら、

繰り返し実践することが大事です。

PLANが得意だが、DOが苦手であったり、もしくは、DOはしっかりやるが、

ACTIONができていないといった具合に人によって注力すべきポイントも

違ってきます。

 

これから新入社員が入ってくる部門にいらっしゃる方もの多いと思います。

仕事の基本を改めて確認し、自分で実践しながら新入社員を迎えましょう。

研修における言葉の定義の大切さ

 

研修で学習するコンテンツには様々な新しい言葉が出てきます。

例えば、ロジカルシンキング研修では、MECEやロジックツリーなど、

コミュニケーション研修では、傾聴、アサーティブなど、新しい知識として

このような用語が用いられます。新しい言葉はそれが何を意味するのが、

どのように活用するのかが説明があります。

 

しかし、言葉の定義が本当に重要なのが、普段よく使っている言葉です。

例えば、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決、

プロジェクト、ビジョン、経営理念などがあげられます。

 

研修で、どう意味でこのような言葉を使っているかを確認してみると、

意味の認識がバラバラであるケースが多くあります。

普段の仕事で使っている言葉の認識がいかに違うかいう表れでもあります。

 

研修も言葉の定義が曖昧なまま進行すると、新しく学ぶ内容の意味もそうですし、

ディスカッションの内容の方向性もぶれてしまいます。

言葉を定義し、共有することは研修の効果を上げるためにも非常に重要です。

 

これまでの研修で、言葉をこのように定義しました。

 

マネジメント⇒計画と実行の管理

リーダーシップ⇒人に対する影響力・人を動かす力

コミュニケーション⇒相互理解

問題解決⇒あるべき姿の実現

クレーム⇒お客様の期待と要望


あくまで、私の研修での定義した内容ですので、

これが正しいというわけではありません。

研修を企画する際には、言葉の定義を吟味して考えていきましょう。

研修開発のケース②ロジカルシンキング研修のコンテンツ開発

前回に引き続き、今回はロジカルシンキングのコンテンツについて説明します。
コンテンツ開発では、下記の2つの観点から考えていきます。

○論理的に考えるやり方を学ぶ
○具体的な活用シーンに応用する
 
やり方に関しては、考える視点やロジックツリーやフレームワークなどの手法を学び、
活用シーンに関しては、現実のケースにあてはめて考えるようにします。
コンテンツ開発のプロセスに沿って、整理していきましょう。
 
①コンテンツの洗い出し
⇒目的と手段や原因と結果の考え方、ロジックツリーの作り方、MECEの考え方など。
あまり多くしすぎないことがポイントです。
 
②各形式の決定
⇒ディスカッション中心のワークショップ、実際の現場の仕事を活用したケーススタディで
思考する時間を多くとります。
 
③プロセスと時間配分
⇒手法の学習と実践ワークの繰り返しで時間を配分していきましょう。
 
④アウトプットの整理
⇒現場での活用シーンをイメージしたフレームワークや実際の業務の分析などが主な
アウトプットとなります。
 
参考にロジカルシンキングのコンテンツ例を記載しておきます。
 
■研修の目的・アイスブレイク(頭の体操)
■論理的に考えるために必要な視点(講義)
■ワークショップ①情報の整理(ロジックツリーの作成)
■ワークショップ②原因の考える(問題の原因分析)
■現場への応用①報告書の作成(現場の問題を整理する)
■現場への応用②自分の問題解決する(原因分析と解決策の立案)
■現場への応用③わかりやすく話してみる(3分間のプレゼンテーション)
■仕事で活用するためのアクションプラン(ワークシート)
■研修のまとめ
 
ロジカルシンキング研修開発のポイントは、考えるとはどういういことかを
体感でき、いかに現場で活用するかをイメージできることができているかという
点になります。その点を忘れないで、自社にマッチしたコンテンツを開発してみましょう。

研修開発のケース②ロジカルシンキング研修のテーマ設定

今回取り上げる研修テーマはロジカルシンキングです。10年くらい前から

関心が高まり、実施している企業も非常に多い研修のひとつです。

仕事において考える機会が減っているわけではありませんが、もっと質の高い

思考をするための一つの手法として高いニーズがあります。

では、どのようにテーマを設定していけばいいのでしょうか。

 

ロジカルシンキングというと、ロジックツリーの作り方やMECE(もれなくダブリなく)の考え方を

学習するイメージが強く、応用的なケースになると定量分析やフェルミ推定を扱うことも

あります。

 

研修のテーマ設計の観点からすると、下記の観点を十分に考慮しながら、

検討していく必要があります。

 

○考えることに関して現場にどんな問題が発生しているのか

 

※若手社員があまり考えていないといった抽象的ではなく、具体的に整理する

 

⇒伝えてくる情報がわかりにくい

⇒資料がうまくまとめられない

⇒会議がうまく進まず、無駄が発生している

⇒現場の問題がなかなか解決しない

 

○どんなアウトプット・考えを期待しているのか


※考えることを通じて何を具体的に実現してほしいのかを整理する

 

⇒わかりやすい整理された資料(文章)

⇒わかりやすい発言・説明(コミュニケーション)

⇒事実ベースでの状況把握(理解)

⇒スピーディーな問題解決(分析・意思決定)

 

このような観点で情報を整理し、テーマを決めていきます。

思考法やツールを学習することがテーマになると、現場の活用や

研修成果から見て、効果が下がってしまいます。

 

ロジカルシンキング研修のテーマ設定も目的ベースで考えるようにしましょう。

研修設計自体がロジカルでないといけません。

研修開発のケース①コミュニケーション研修のコンテンツ開発

前回、コミュニケーション研修のテーマについて整理しましたが、
テーマが決定したら、研修の中身(コンテンツ)を開発していきます。

コンテンツを作成する際には、テーマに応じてどのような要素が必要なのか、
どんな形式で進めていくのか、どれくらい時間配分をしていけばいいのかを
十分に考慮することが重要です。

 
下記の開発プロセスに沿って、研修のコンテンツを考えていきます。
 
①コンテンツの洗い出し
 
⇒どんなコンテンツが必要なのかを一旦すべて洗い出します。
 
②形式の決定
 
⇒講義形式、個人ワーク、グループディスカッション、全体討議、ゲームなど
最適な形式を決めます。
 
③プロセスと時間配分
 
⇒コンテンツの形式とテーマとの関連性を見ながら、優先順位をつけ、
全体の時間配分、プロセスを設計します。
 
④アウトプットの整理
 
⇒ワークシートへの記入や口頭による共有など各コンテンツごとに
最終的な落とし所を決めます。
 
参考にコミュニケーション研修を設計をした場合のプログラム案は下記に記載します。
(7時間で20名の若手社員を想定)
 
■研修の目的・アイスブレイク(私のコミュニケーションの課題)
■コミュニケーションとは何か(講義)
■ワークショップ①コミュニケーションに必要な言葉と行為
■ワークショップ②現状のコミュニケーションの課題
■コミュニケーションスキル①話の聞き方(講義・ロールプレイング)
■コミュニケーションスキル②話の伝え方(講義・ロールプレイング)
■現場の活用のためのアクションプラン(ワークシート)
■研修のまとめ
 
コミュニケーション研修では、コミュニケーションの重要性を伝える講義と
それを体感するためのロールプレイングやワークショップを交えながら、
設計することがポイントです。
箇条書きでも結構ですので、研修プログラム案を作ってみましょう。

研修開発のケース①コミュニケーション研修のテーマ設定

今回から具体的なテーマごとに研修をどのように設計・開発していけば

効果的なコンテンツになるかを検証していきたいと思います。
第1回目は、コミュニケーションについて考えていきます。
 
コミュニケーションは非常に幅広い概念ですので、一言で
コミュニケーションスキルアップといっても具体的に何をどう高めていくか
を選定していくことが必要です。
 
次のような観点で整理してみましょう。
 
○誰に対するコミュニケーションか
 
部下⇒部下育成、指示命令など
上司⇒報告・連絡・相談など
社員全般⇒プレゼンテーション、会議など
顧客⇒営業、ブランディング、電話応対など
 
○どんなコミュニケーション手段か
 
会話形式⇒対話、会議など
文章形式⇒文書、メールなど
状況別⇒1対1、1対多など
 
○どの部分を高めるか
 
話の聞き方
話の伝え方
コミュニケーションの中身
 
 
上記のような観点で、一旦研修の目的を具体化してみると、
目的や課題に沿った研修を設計しやすくなります。
 
コミュニケーションの基本的ことを学習する場合は
やや抽象的になりますが、幅広いテーマを扱うことが可能ですし、
応用として、絞り込んだテーマで具体的な方法・ノウハウを
習得することも可能です。
 
テーマを設定したら、どのようなコンテンツ、アプローチで
取得するかを対象者や課題に合わせて考えていくステップとなります。

研修に対してそれぞれが持つべき意識

 

研修に効果があるのですが、「実施前の期待は高いが、実施後、現場での成果は出にくい」と

一部否定的な見解を持たれることもあります。研修の効果には確かに限界があります。

どんなにすばらしい研修でも基本的には成長のきっかけにしかなりません。

 

しかし、教育を中期的な視点でとらえれば、その成長のきっかけをいかに有効なものに

するのかが重要です。研修は効果に即効性がないからと、人材教育自体をあきらめて

しまっては、人材の成長スピードを遅らせることになりかねません。

 

研修での学びを無駄にしないために

企画者(人事、上長など)、研修実施者(研修会社、講師)、受講者がそれぞれ

現場での成果にこだわっていくことが必要です。

それぞれが意識すべきことを整理しました。

 

○企画者が持つべき意識

⇒研修の目的、会社側の意図をどれだけ把握し、伝えられるか

⇒成果を出すまでのサポートをどれだけできるか


○研修実施者が持つべき意識

⇒いかに研修の時間内で深い気づきを生み出すか

⇒現場での活用を具体化させるか


○受講者が持つべき意識

⇒現場での活用をどれだけ継続できるか

⇒自ら成長しようとしているか


研修を企画、実施する際には、研修実施者、企画者、受講者がそれぞれ、

本気で成長を考えなければ、効果は半減します。

研修を意味があるものにするために、研修への意識づけを企画者が中心となって

行うことが重要です。企画者の研修に対するリーダーシップが講師、受講者にも

伝わり、すばらしいきっかけになるための原動力となります。

 

研修を通じて起こる様々な効果

 

研修の目的は以前でも説明したとおり、スキル学習であったり、課題や行動の具体化など

を通じて成果を出すことには変わりありません。ただ、研修を実施するとその他にも

様々な効果があります。今回はその効果を整理してみたいと思います。

 

すべての効果が表れるとは限りませんが、研修を実施して見られた効果を

列挙してみます。

 

○会社からのメッセージを共有できる

 

研修の導入部分や終了時に社長や部門長の方から研修に対する思い・考えを

発信することがよくあります。ビジョンや方針の共有など、メッセージ性が強いものが

多いので研修の動機づけとしても効果的です。

 

○普段接することができない社員同士でコミュニケーションが取れる

 

グループディスカッションで研修の課題をこなす中で、受講者同士で状況や

考えが共有されます。普段なかなか聞けない情報を得たり、他の部門の声が

聞けたりとコミュニケーションの機会としても効果があります。

 

○一体感が生まれる

 

研修を通じて、課題の共通認識ができたり、ビジョンを共有できたり、研修で学んだことから

共通言語が出てきたりと、一体感を生み出すきっかけとなります。研修後の懇親会などが

あればより一体感が高まります。

 

このように、研修コンテンツから生まれる学習効果以外にも様々な効果がありますので、

社員のモチベーションを高める機会としても研修は非常に有効です。

オプション的な効果ですが、研修企画の際にはぜひその点も意識して、プログラム設計を

してみるといいでしょう。