ミッション(mission)とビジョン(vision)とバリュー(value)の違いと定義

 
企業戦略を描く場合や、会社としての姿勢・行動を見直したり、
組織課題を解決する際に考えるべき視点として使われるのが、
 
「ミッション」と「ビジョン」と「バリュー」という言葉です。
 
この3つの言葉には様々な表現の仕方があります。また、その定義も様々です。
 
 
例えば、このように訳されていることがよくあります。
 
ミッション ⇒ 使命、目的、役割、存在意義など
ビジョン ⇒ 目標、夢、志、方向性など
バリュー ⇒ 価値観、あり方、姿勢など
 
このように様々な定義があるために、企業や人によって、独自の解釈で決められています。
 
マネジメント研修や事業戦略研修では、もっとわかりやすく区別するために
 
「社会」と「組織」
 
「WILL(意思)/結果」と「MUST(義務)/プロセス」
 
という2つの軸で4つの領域(マトリクス)に分けて考えるようにしています。
 
 
 
その組織や人が
①「実現したいこと」=「社会」×「WILL」 (社会に対してこうしたいという目的)
②「なりたい姿」 =「組織」×「WILL」   (組織としてこうなりたいという状態)
③「あるべき姿」 =「組織」×「MUST」  (組織としてこうあるべきという姿勢)
④「やるべきこと」=「社会」×「MUST」 (社会に対してやらなければならない活動)
 
と分けるとするならば、
 
①ミッション
②ビジョン
③バリュー
④事業内容
と言い換えることができます。
 
組織の現状と未来像を十分に分析、整理して、言葉化することが大切です。
自社のミッション、ビジョン、バリューを考えるときの参考にしてください。
 
株式会社エンターイノベーション
山本直人
 
 

 

研修開発のケース③モチベーション研修のコンテンツ開発

前回、モチベーションのテーマ設定の観点を整理しました。今回は、
具体的に、対象、目的、状況別にどんなコンテンツを持ち込み、
カリキュラムを設計すればいいのかご紹介していきます。
 
まずは、モチベーション関連のコンテンツとして、大きく分けると下記の3つになります。
 
○モチベーションのしくみの理解
  ⇒心理学的知識、内的外的要因、基本的欲求、価値観の影響など
○自分のモチベーションのコントロール手法
  ⇒考え方を変える、環境を変える、行動を変える、自己理解、ビジョン設定など
○相手のモチベーションのマネジメント手法
  ⇒他者理解、観察の仕方、コミュニケーションの取り方、制度・風土の作り方、など
 
そこに設定したテーマに応じて、現場の活用を意識したカリキュラムに落としこんでいきます。
例えば、職場全体の活気がなく、特に若手社員のモチベーションの低下が目立ち、
自分のモチベーションを高め、仕事のパフォーマンスを向上させてたい場合、
こんなカリキュラムになります。
 
■研修の目的・アイスブレイク(モチベーションがあがるとき)
■モチベーションのしくみ(講義)
■自分のモチベーションの源泉を知る(自己理解)
■モチベーションアップの手法(思考と行動へのアプローチ)
■モチベーション低下したときの対処(過去の嫌な出来事の解釈を変える)
■高いモチベーションをキープする環境づくり(自分のスタンスを決める)
■研修のまとめ(仕事の現場で継続実践すること)
 
モチベーションの研修でも、同様にしっかりを目的を明確にし、現場の活用を意識した
カリキュラムである必要があります。他の研修とくらべ、比較的に楽しくやるもの、
自分理解が深まるもの、手法を学ぶものが多いため、現場への応用がないがしろにされがちです。
その点を十分に意識して、設計することが大切です。

研修開発のケース③モチベーション研修のテーマ設定

モチベーションやストレスマネジメントをテーマに研修企画されるケースも非常に増えてきてます。
業務過多や職場の人間関係によるモチベーションの低下の解消や組織のビジョン設定や職場環境整備による
モチベーションの向上が企業において必要性が感じられていることが背景にあります。
今回はモチベーションをテーマにどう研修コンテンツのテーマを設計していけばいいのかを考えていきましょう。
 
モチベーション研修もこれまでの記事で掲載しているポイントと同様に、目的と対象から
最適なテーマを設定することが大切です。主に下記のような観点になります。
 
◯誰のモチベーションを高めるのか(対象)
 
自分⇒モチベーションのコントロール
部下⇒モチベーションのマネジメント
組織全体⇒モチベーション向上の仕組み化
 
◯なぜモチベーション向上が必要なのか(目的
 
仕事のパフォーマンスを向上させる
疲弊感を軽減させる
組織の一体感を醸成する
 
◯どの場面でモチベーションを高めたいのか(状況)

自己の通常業務の遂行
プロジェクトの遂行
目標設定の面談
社内コミュニケーション(会議など)
 
このような観点でテーマを具現化することで研修の質を高めます。例えば、
「仕事のパフォーマンスを高めるために、目標面談で部下のモチベーションをマネジメントすること」と
「組織の疲弊感をなくすために、日常業務で自分のモチベーションをコントロールすること」
という2つのテーマがあれば、コンテンツも大きく変わってきます。
 
モチベーションアップの手法は多く存在しますが、その内容をコンテンツに盛り込む前に
テーマを明確にし、絞り込んでいく必要があります。
次回はモチベーション関連コンテンツの種類と方法を上げ、カリキュラムをご紹介します。

研修コンテンツをもりこみすぎない

何かスキルを身につけるために学ばなれければならないことは多くあります。
多くの知識を身につけ、経験を積んでいかなければなりません。研修においても
できるだけ多くの学んでもらい、早くスキルアップしてほしいと考えるのが当然のことです。
 
そのため、研修設計をしていると、どうしても多くの内容をいれてしまいがちになります。
その理由として考えられるのが、企画側の意図として伝えたいこと、伝えるべきと
思っている部分が多いことや時間を余らせてようにしたいという考えがあります。
 
実際に研修で伝えられるメインのメッセージは3つから多くても5つくらいです。
それ以上の数になると、研修後に記憶に残りづらくなります。
研修の時間を通じて、何を伝えたいのかをしっかりと絞り込み、
その情報を深いレベルで理解してもらうために、補足的に必要なメッセージをきめ、
講義、ワークやディスカッションでアプローチを決めていくのが基本的な設計の流れです。
 
例えば、マネジメント研修を設計する際には、
まずはマネジメントで特に実践すべきことを3つ絞り込み。
○目的・ビジョンを具体的に示す
○部下状況を的確に把握し、すぐに改善する
○全体最適、長期視点で考える
 
そして、そのメッセージを伝えるために、時間とのバランスを十分に考慮しながら、
必要なコンテンツを決めていきます。
○マネジメントの原則
○部下とのコミュケーションの手法
○仕事の計画と検証の仕方
○自己分析に強みと課題の把握
など
 
実際にインストラクションをする際に、決めた3つのメッセージをそれぞれに
入れ、伝えながら、進めていきます。
このプロセスは2時間の研修でも2日間の研修でも大きく変わりません。
そのメッセージを理解するためのアプローチに欠ける時間を変えるだけです。
 
コンテンツは多く盛り込まず、十分に絞りこまれたメッセージをどう伝えるかで
研修時間に応じた設計をしていきましょう。

スキルを因数分解すると効果的な改善ができる

スキルの習得や強化は非常に時間がかかります。
こうすればいいとわかっても、実際にはなかなかうまくできません。
例えば、コミュニケーションスキルでも、人の話をしっかりと聴く、
わかりやすく結論から話すなど強く意識しないとできないものです。
 
実際にスキルの習得までは、以前の記事でも述べたように
『知らない⇒学習⇒知っている⇒体験⇒わかる⇒反復⇒できる⇒習慣』
というステップで成り立っています。
特に「わかる」から「できる」までのプロセスは多くの経験が必要です。
ただ、このプロセスの成長スピードを高めることは可能です。
実践の振り返りをし、改善をより意識的におこなうことで可能となります。
 
その際に、スキルの因数分解し、細分化し、具体的にポイントを
絞り込むとさらに効果的な改善ができます。
スキルは抽象的な概念なので、細分化することで、
行動に近い状態することで具体化できます。
 
例えば、
コミュニケーションスキルであれば、
コミュニケーションスキル=聴く力×質問する力×伝える力
営業スキルであれば、
営業スキル=行動量×提案力×クロージング力
 
など、分解することで、強化ポイントを絞り込みやすくなります。
 
さらに分解することも可能です。
行動量=目標設定×行動管理×モチベーション
提案力=ヒアリング×論理的思考×プレゼンテーション
クロージング力=交渉力×調整力×改善力
 
分解の仕方に特に正解はありませんが、
自分の課題は明確になりやすくなります。
高めたいスキルを分解し、強化ポイントを明確にしながら
スキルアップに取り組んでいきましょう。

研修への動機づけを徹底する

どの企業、どの社員においても社内研修に対するイメージは様々です。
研修と自己成長やスキルの習得の場として、有効に活かしたいと考える人や
他部門の社員とコミュニケーションを取る場として位置づけたりする方もいる反面、
全体として、研修に対するイメージはややネガティブなケースが多いと思います。
通常業務が忙しい中、なぜ研修にいかなくてはいかないのか。
研修で学んだことは現場ではそれほど活かせないのであまり意味がない。
そもそも興味がある研修がない。
などといった声もよく聞きます。
 
どちらのケースにしても、有意義な研修をするために十分な動機づけが必要です。
なぜこの研修を受けるのかという自ら目的を持って臨むことが重要です。
その主体的な受講姿勢を持ってもらうために、下記の観点で何らかの
のアプローチがあると効果的です。
 
<会社側からの動機づけ>
○何を伝えたいのか
○何を期待しているのか
○どうなってほしいのか

<自らの動機づけ>
○どうなりたいのか
○何を必要としているのか
○現場でどう活用したいか

これらの両面からアプローチが必要です。
外的な部分の動機づけと内的な部分の動機づけがあると
非常に深いレベルで目的を持って臨むことができます。
 
研修プログラム内での具体的な進め方としては、
研修の目的とプログラムの全体像の共通を導入部分で行い、
チェックインとして研修に対する自分の目的を決め、グループで共有し、
受講の動機づけを行います。研修の序盤は特に力も時間もかけて
動機づけができたか受講者の反応を見ながら進めていくようにすることが大切です。

論理と感情で研修の気づきを高める

研修が効果的であったかどうかを判断するために、事後アンケートで
満足度や理解度を確認したり、コンテンツや講師に対する意見を収集したりします。
満足度が高い研修にするために、できるだけ受講者の視点に立って、目的に沿った
メッセージや知識・ノウハウをわかりやすく提供するのが企画者の役割であり、
講師の役割でもあります。
 
研修がよかった、有意義であったと言われる研修を企画するために
論理と感情を軸にコンテンツを設計すると非常にバランスがとれた
納得性の高い研修にすることができます。
 
受講者の気づきを大きく2つの傾向にわけると、論理で理解した気づきと
心で感じたが気づきがあります。どちらが良い悪いでもなく、どちらかに
属するというわけでもないのですが、両面から気づきが生まれるということです。
人によっても傾向の強弱はありますが、その両面が満たされたときに、
深い気づきになると考えられます。
 
なぜこれをしなければならないのか、何が大事なのか、どうすればいいのか、
このような観点で内容を理解する場合、しっかりとした論理性が必要ですし、
その理解したことを、実践するためには感情面でも満たす必要があります。
自ら変わっていこう、何かを始めてみよう、何としてでもやりとげようをいう意思は
感情面でも気づきが必要です。
 
研修の企画では、下記のような観点でコンテンツやプロセスをチェックするとよいでしょう。
 
○どのレベルまで理解してもらいたいか
○5W2Hの観点で伝えたいメッセージが論理的になっているか
○行動レベルまで具体化されているか
○導入時から終了時まで受講者の感情をどのように動かそうとしているか
○終了後、どんな感情になってもらいたいか、どんな行動を起こしてもらいたいか
 
これからの問いが、研修の質を高めることにつながります。自分が企画する
研修が論理もしくは感情面に偏っているのかも把握することができますので、
ぜひ活用してみてください。

研修の導入でよい雰囲気を作るには

企業研修ではどんよりした雰囲気で始まることが多いと思います。
現場業務の忙しさ、見知らぬ同士の緊張感、研修への期待感や興味のなさ、
やらされ感など様々な理由があります。もちろん、研修を楽しみにしている方も
いらっしゃるのですが、そのような状況でも導入部分では固い雰囲気になってしまいます。
そのような雰囲気のまま、研修を進めるのは、受講者にとっても、講師にとってもよくありません。
発言が減り、集中力もなくなり、動機づけもできにくい状況になります。
 
そこで、導入部分で主におこなうことは「アイスブレイク」と「研修への動機づけ」の2つです。
講師は特にこの2点を意識して場づくりをおこなっています。
 
一つ目のアイスブレイクですが、その固い雰囲気を壊すためにおこなわれれています。
よく導入部分で、自己紹介をしたり、簡単な楽しめる問題を出したり、ちょっとしたゲームをしたりします。
(研修の目的や対象の受講者に応じて多くの手法がありますが、今回は説明を省きます)
 
効果的なアイスブレイクをおこなうためには、ゴールを明確にしておく必要があります。
アイスブレイクを実施した後に、どのような雰囲気になっているのが望ましいか
イメージすることが大切です。通常でしたら、固い緊張感がなくなり、フランクに会話を
できるようになれば、大枠問題ありませんが、そのレベル感を見間違うと今後の進行の
足を引っ張ることもありえます。状況に適切なアイスブレイクを選択し、場づくりをおこなうことが
重要です。
 
2つ目の動機づけは、研修の目的を受講者に対して浸透させていくことです。
別に固い話をする必要はありません。何のためにここに参加しているのか、
どのような姿勢で臨んでほしいのか、そのようなメッセージを伝え、参加意識を高めていく必要があります。
 
そのためにも、研修の目的と現場活用イメージを言葉と感情の両方でつなげて、
動機づけをおこなっていきます。動機づけされた時に、どのような場になっているべきか
しっかりと研修をやる側もイメージできていないといけません。
 
研修は導入で決まるとも言われます。どの地点から
研修をスタートするか、その後の展開にも大きく影響します。
時間をかけてでも、導入時には場づくりを意識して研修を進めていきましょう。

成長プロセスを研修に応用する

研修において、多くの研修担当者から難しいとよく言われているのは、
内容として勉強にはなるが、なかなか成果に結びつかないという点です。
人材教育とした結果として得られるものは、最終的には成果でありますが、
その過程には段階的な成長が欠かせません。
 
その点をしっかりと抑えておかないと研修の成果の判断が早すぎたり、
継続的な教育ができず、中途半端になってしまう状況が発生します。
研修だけでなく、人材教育では、全体像とプロセスはしっかりと把握できていないと
いけません。その把握のためにも、そもそも人はどう成長していくのかと知っておく必要があります。
 
一般的に成長のプロセスは以下のように整理できます。
 
知らない⇒知っている⇒わかる⇒できる
 
いろんな考え方があると思いますが、基本的にはこれらのプロセスを得て、
人は成長をしていくと説明ができます。
 
そのプロセスに必要とされる行動を加えてみると、
 
知らない⇒学習⇒知っている⇒体験⇒わかる⇒反復⇒できる⇒習慣
 
と考えることができます。
 
この状態と行動を整理した成長プロセスを参考にし、
研修ではどこまで何をどうすればいいのかを設計していくことが必要です。
この点が曖昧なままでしたら、研修の目的を明確にしても効果が見えにくくなりますし、
判断も難しくなります。人材教育全体を企画する場合も同様です。
 
成長は時間がかかりますが、早めることは可能です。
その点を十分に踏まえて、研修企画を進めていきましょう。

フォロー研修を効果的にするために

業務の振り返りを行うためや研修の定着を図るために
フォロー研修を実施することがあります。例えば、新入社員が1年たった後に受ける
新入社員フォロー研修や3年目フォロー研修、研修で学んだスキルの復習のために
実施するビジネススキル系のフォロー研修などがあります。
 
今回は効果的なフォロー研修を実施するためにどのようなポイントを
押さえなければならないかを考えていきましょう。
 
まず、フォロー研修の目的はなんでしょうか。
その主な目的として考えられるのは、
「振り返りを通じて自分の課題を発見し、その対策を考える」
ではないでしょうか。もちろん、学習内容の復習や本来の役割の確認なども
含まれますが、業務の振り返りやスキル習得の検証にせよ課題を解決することが
主なテーマになります。
 
つまり、フォロー研修では、研修内容に応じてしっかりと課題を認識し、
効果的な解決策を見出す必要があるということです。そのためには、
通常の課題解決の流れと同様に
◯事実を把握すること
  (実践内容の確認)
◯あるべき姿やゴールを明確にすること
  (スキルの復習や役割の確認)
◯新たな課題設定と解決策
  (今後のアクションプランの立案)
が最低限必要な内容となります。
 
フォロー研修では、実践の振り返りが含まれますので、
どれくらい実践が困難なのか、具体的に何が問題なのかといった観点で、
体験を通じた深い気付きがあることが大きな効果となります。
 
ただし、実践をしていなければただの復習だけになってしまうので、
特にビジネススキル系のフォロー研修では、効果を高めるために
受講者には現場での実践を十分に促しておくようにしましょう。